生クリームが泡立たないのは水のせい!水が入ったら復活できる?

生クリームを作るときに「泡立たない」そんな経験ありませんか?
せっかくふわふわに泡立った生クリームを作ろうと思ったのに泡立たなくて焦る、ガッカリする、買ってきた生クリームのパックは1つだけ、どうしよう?と頭を悩ませることがあると思います。
そんなときの対処方法をご紹介いたします。
生クリームが泡立つ仕組み
生クリームを泡だて器で素早くかき混ぜるとホイップクリームができあがります。
原理としては、素早くかき混ぜることで、脂肪球の膜が壊れます。壊れた脂肪球から出てくる脂肪が接着剤の役割を果たすことで脂肪球同士がくっつき、空気を抱え込みます。
さらに泡立てていくことで脂肪球同士が網目状につっくき、空気をしっかりと支えて安定します。こうしてホイップクリームができあがります。
生クリームが泡立たない理由
生クリームを泡だて器でかき混ぜることで生クリームができあがる。単純な仕組みですが、泡立たないことがあります。その原因は複数あります。
生クリームが泡立たない理由:水、油が混入
生クリームに水や油が入り込んでしまうと、生クリームの脂肪分と水が分離し、泡立たない原因となります。
氷水が生クリームの入ったボウルに混入してしまうケースがあります。これについては、作業時に注意する必要があります。
ボウルが汗をかいてそれがクリームに入ってしまう場合もあります。もし水滴が見えたら、乾いたキッチンタオルや布でふき取りましょう。
作業前に器具を洗ったときの水分が残っているケースもあります。この場合は、器具の水分をしっかりふき取り、乾かしましょう。
器具に油分が付いていることも考えられます。使用前のしっかり洗い落とし、そのあとはしっかり乾かしましょう。
生クリームが泡立たない理由:室温が高い
室温が高いと泡立ちにくかったり、十分な空気を取り込む前にクリームが固まってしまうことから仕上がりがボソボソとなってしまいます。
室温が高いと泡立ちにくいのは、生クリームの「脂肪球」が壊れてしまうことによって起こります。
前述の「生クリームが泡立つ仕組み」で書いた通り、脂肪球が壊れてしまうと『脂肪球同士が網目状につっくき、空気をしっかりと支える』ための脂肪球がなくなってしまうため、ホイップリクームが作れなくなってしまいます。
生クリームの中の脂肪球の大半が壊れてしまうと、いくらかき混ぜても泡立ちません。
もしこのパターンに該当する場合は、残念ながら「詰み」です。
生クリームが泡立たない理由:生クリームの温度が高い
生クリームの温度が高いと、生クリームの「脂肪球」が壊れてしまうため、泡立たない原因となってしまいます。
大切なことは、生クリームも使用器具もよく冷やすことで、生クリームの温度を低く保つことです。
- 生クリームを冷蔵庫で直前まで冷やしておきましょう。
- 泡立てにつかうボウルも、十分に冷やしておきましょう。もし氷水で冷やしながら泡立てている場合は、氷水に塩を足すとより冷やすことができます。
- 泡だて器やビーター(ハンドミキサーの先)もよく冷やしましょう。
なお、使う器具については、熱伝導の悪いポリカーボネート製ではなく、よく冷やすことのできるステンレスやガラスのボールがおススメです。
生クリームが泡立たない理由:泡たてに時間をかけ過ぎ
泡立てに時間が掛かると固まりにくくなることがあります。それは、生クリームがぬるくなるためです。ハンドミキサーで手早く泡たてることが理想的です。
泡立てに時間をかけたことで生クリームがぬるくなると、生クリームの「脂肪球」が壊れてしまうため、泡立ちにくくなります。
生クリームが泡立たない理由:泡立てるスピードが遅い
泡立てるときのかき混ぜるスピードが遅い場合、生クリームが泡立つ前提条件の「脂肪球を壊す」ことができないため、泡立ちません。
素早く激しくかき混ぜて泡立ててください。
詳しくは『生クリームが泡立つ仕組み』をご参照ください。
使っている生クリームの脂肪分の量
目的に合った生クリームの種類を使っているか確認してみてください。
生クリームの乳脂肪分が低い場合、泡立てることが難しいです。
乳脂肪分の量の目安は以下の通りです。
乳脂肪分が35%以下は、泡立てが難しくホイップクリームには向かない。
乳脂肪分が47%以上のものはボソボソしやすい。
乳脂肪分が40%~45%がホイップクリームにはちょうどいい。
生クリームには「ホイップ」と「純生クリーム」の2種類があります。
「ホイップ」と書かれている物は植物性脂肪のクリームで、泡立てに少し時間が掛かるものの、分離しにくく、安定性があります。
原料としては植物性脂肪のみ、植物性脂肪+動物性脂肪の混交があります。脂肪分としては30%~44%の幅があります。
「純生クリーム」は動物性脂肪が原料となっています。
脂肪分が18%~30%のものは、コーヒーや料理に泡立てずにそのまま使うライトな生クリームです。
脂肪分が35%前後のものは、プリンやムースなど軽い感じに仕上げたい場合に使います。
脂肪分が45%前後のものは、デコレーションはコクのある味に仕上げる場合に使います。
泡立たないクリームを復活させる方法
せっかく意気込んで生クリームからホイップクリームを作ろうとしたのに、泡立たない・・・ 泡立たないクリームを復活させる方法をご紹介いたします。
復活させる方法:ジャム
生クリーム100mlに対してジャムを5g(大さじ1)を入れると、ジャムに含まれるペクチンが乳成分と合体して凝固が早まります。
ペクチンとは、植物繊維のひとつであり、ゲル化剤の役目を果たす植物由来の添加物です。
ペクチンは果物に多く含まれており、乳成分と合わさると凝固するため、生クリームに加えると泡立ちやすくなります。
使用するジャムはペクチンを含んでいる必要があるため、いちご、プルーベリー、りんごや桃などのペクチンが含まれる果物のジャムを使いましょう。
なお、生クリームにジャムを入れて泡立て過ぎてしまうと、固まりすぎて失敗に終わってしまうため、注意が必要です。
復活させる方法:レモン汁
生クリーム100ccに対してレモン汁を5ml(小さじ1)入れることで泡立たない生クリームを復活させられます。
レモン汁で生クリームが復活する仕組み
生クリームはpH6~7、レモンのpHは1~2程度です。乳タンパクはpH4.6程度で凝集、沈澱がおこります。
レモン汁に含まれているクエン酸には、phを下げる作用があります。
生クリームにレモン汁を入れるとphが下がるため、たんぱく質が変性し凝固するという仕組みです。
つまり、レモン汁以外でも酸が含まれるものであれば短時間でホイップクリームが作れたり、復活させることができます。
レモン汁なら風味を豊かにできて一石二鳥。舌触りが軽くなり、さっぱりとした味わいに仕上げあれるため、おススメです。
復活させる方法:その他(クエン酸含むもの)
クエン酸が含まれていればよいため、酢やすだち、ゆずなどの柑橘類でも代替可能です。入れることで少し酸味のあるさっぱり爽やかなホイップクリームに仕上がります。
失敗したときや余ったクリームの活用方法
ホイップクリーム作りでしっぱいしてしまった場合、または生クリームが余ってしまった場合の活用方法について、ご紹介いたします。
料理で牛乳の変わりに使う
牛乳の代わりにホットケーキミックスに生クリームを混ぜて焼けば、パウンドケーキ風のリッチなパンケーキが作れます。
アイスクリームを作る
生クリームに砂糖とバニラエッセンスを加えて冷凍すれば、簡単にアイスクリームを作ることができます。
コーヒーのミルク代わりに
シンプルに、コーヒーのミルク代わりに入れて飲むんでもGOODです。
余った生クリームをふってバターにする
意外と知られていないのですが、生クリームを振り続けるとバターが作れます。
瓶またはペットボトルに生クリームを入れて、ひたすらふります。振り続けると、生クリームが液体から固まりに変化していきます。それでもまだふり続け、5分くらい経つと固まりから白っぽい水分が「バシャッ!」と音をたてて分離しはじめます。振り続けても固形物が動かなくなったら、フレッシュバターのできあがりです!
泡立たないリクームの復活方法のまとめ
生クリームが泡立たない原因としては、
- 生クリームに水や油が加わってしまっている
- 生クリームの温度が上がってしまっている
- 使っている生クリームの種類が泡立てに合っていない
- 泡立てのスピードが遅いため生クリーム化できない
- 生クリームの「脂肪球」が壊れて全滅している
泡立たない生クリームの復活方法としては、
- ジャムを入れる(ペクチン入り)
- レモン汁を入れる(クエン酸があればよい)
もし生クリームの「脂肪球」の大半が壊れてしまっていると、復活するすべはありませんので、諦めて再利用しましょう。
余った材料の再利用方法としては、
- 料理で牛乳の変わりに使う
- コーヒーミルクの代わりとして使う
- 砂糖とバニラエッセンスを加えてアイスクリームにする
楽しいクッキングをお楽しみ下さい!
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。
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