
Adoさんの「レディメイド」の歌詞の意味を徹底的に解釈・考察していきたいと思います。この曲のPVでは、野球をイメージした動画に仕上がっており、歌詞と野球が重なる部分がでてきますので、その点も踏まえて考えていきたいと思います。
Adoの「レディメイド」とは
「レディメイド」とは英語では ready-made 、意味は「既成」。つまり、既に出来上がっているものという意味です。対義語としては「オーダーメイド」(order-made)があり、注文に応じて作られているオリジナルなものという意味があります。
「レディメイド」のPVは野球をイメージした動画になっています。
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Ado「レディメイド」歌詞の意味を解釈・考察!
では、さっそく「レディメイド」の歌詞を徹底的に解釈・考察していきたいと思います。
ロンリー ロンリー 寄る辺ない侘しさに
頬杖ついてるようじゃ変わらない わかってんだよ
メイビー ありふれたモブなんだって
認めてないならいっそ腐るまで叫んで
頼れるものがなくやりきれない寂しい気持ちを抱え、「ロンリー」と2回呟くことで、1回目は状況を、2回目は実感を表しています。
体に力が入らずに頬杖をついてかろうじで頭を支えている。
自分が陥っているそんな状況を変えたいけれど、今のままでは変えられないことぐらいは頭ではわかっている。
自分の存在はモブ。ゲームでいう名前も個性もないエキストラのような存在。
自分がモブだと受け入れてしまうまで、もがき抗うために心の声を叫び続ける様子が伺えます。
「自分の存在はモブじゃない!」って…
異端傾けば?赤裸々に
本音ばかりじゃ生きられない
路肩に寝転ぶ人生が
きっとお似合いだなあ
大人になれば溶け込んで 金と愛情で踊るのさ
大勢の人が自分はモブであることを受け入れている世の中で「自分は特別だ」と主張しているけれども、「異端傾けば?」と自分もモブとしての人生を受け入れた方がよいのかと自問自答している。
「自分はモブだ」という本音がありつつも、それを認めてしまっては人生が寂しく辛いものになってしまい耐えられない。
自分がモブであることを受け入れている人々の中で、それを認められない自分には腰を落ち着ける場所もなく社会のはみ出し者として生きるしかないんだろうな、と悲観しているのでしょう。
自分は特別だと思うことは自分が子どもだからであって、これから大人になれば自然とモブ社会の一員になって、そこで大切とされる価値である「金」と「愛情」を求めて動き回る大勢の中の1人になってしまう、という現実を見据えているようです。
One, two, three で弾け飛んだ
固定観念バットで打って
どうだい? どうだい?
楽ならまっいっか
迫りくる「自分はモブ」という社会通念を 1、2、3のカウントと共に勢いよく打ち返して「どうだい?」と自分の成果を周りに尋ねるも誰も返答してくれる人はいない。
手ごたえのなさから「楽ならまっいっか」とモブ社会に一員になることもまんざらでもないとも思ってしまっています。
レディメイドの琴線に
歪みかけてノイズ混じり
後悔? 後悔?
やめて黙っていろ
舌に乗った苦い感情ばかりが発火して
心の奥に秘められている「自分はモブ」という既成された本心に対して「自分は特別だ」という主張をぶつけることで「モブ」という常識を変えようとしていますが、これ対して「後悔?」と2回問いかけられることで「特別な自分」が試されています。
辛酸をなめるというように、「舌」で辛く苦しい思いを表現することがあります。
「後悔?」という問いに辛く苦しい感情を抑えられなくなり「やめて黙っていろ」と反発しています。
ダーティー ダーティー 言葉飲み込めばほら
いい子になるわよ なんて顔色窺ってんだよ
ベイビー 歪み出すラブなんだって
オーダーメイドのブランド身につけ威張って
ダーティー(dirty)とは汚れという意味です。
「自分は特別だ」という主張を止めてしまえばモブ社会から異端の目で見られることはなくなるよ、と誰かが心配して自分に話しかけています。
これを「あなたのためを思ってモブ社会に誘っているんだよ」という歪んだ愛情であることを「歪み出すラブ」と表現しています。
「オーダーメイドのブランド身につけ威張って」というフレーズは本来であれば自分に合わせるための「オーダーメイド」のハズが
「ブランド」という既成されたものに自分を合わせてしまっている歪んだ状況となっており、そうまでしてでも「特別な自分」を主張しなければならない、と切羽詰まった状況を表しています。
舌を鳴らせば下種張りと不適合者は魔女狩りさ
鼻高々にヒーローぶって きっと楽なんだなあ
社会の外は何処ですか? 金も愛情もクソくらえ
「モブ」であることに不満や軽蔑などを隠さない卑しい根性を出す者(≒つまりは「特別な自分」)とモブでない者は社会から追放されてしまう。
「特別な自分」を排除する人はヒーローになった気分でやっており、そんな社会を維持することの方が「楽」なんだろうと気づいてしまう。
モブ社会から追放されてしまったら行先はわからないけれど、そんな社会が大切にしている価値なんて「クソくらえ」と否定を表明しています。
One, two, three で砕け飛んだ
既成概念真っ赤に塗って
脳内! 脳内!
混ぜて笑っていろ
すでに世間に広く浸透した「モブ社会」の認識や考え方を1、2、3のカウントと共に勢いよく砕け散らした様子が伺えます。
砕け散った「モブ社会」の考え方をモブは頭の中でグルグルと混ぜて「笑っていろ」と見下げています。
レディメイドの延命に
ゲイトかけてノイズはじき
問題! 問題!
解かず歌っていろ
塞ぎ込んだ黒い感情ばかりが発火して
モブ社会を延命するために、外部から「特別な自分」という考えが侵入しないように「ゲイト」を設置することで「ノイズ」(特別な自分)を弾き、「問題!問題!」と「特別な自分」の侵入に対して警告を発している様子を表しています。
そのような防衛措置に対して、胸の中にある正体の分からない不可解な感情が抑えられなくなり「解かずに歌っていろ」、つまり、勝手にしろ、と突き放しています。
ね? ほらまた始まった 比較ばかりで飽きたんだ
大人にだけはなりたくなんかない
ああ 天邪鬼なのほっといて
私? あたし! 気付いたの
この部分では、「自分」はモブ社会の一員になってしまい、モブ同士での地位・名誉・富・権力の争いに嫌気がさしてしまったことを表現しています。
「大人にだけはなりたくなんかない」に「天邪鬼なのほっておいて」というフレーズが組合わせることで「大人」になることはモブ社会の一員になることを意味するため、「大人」にはなりたくない。
でも、「特別な自分」を持ったままの「大人」にはなりたい。
しかし「特別な自分」=「子ども」であることから、大人にはなれない。
だから「ほっといて」欲しいという願望を口にします。
最後のフレーズでは、「私?」「あたし!」と自分の中での変化が表れています。
「私」はモブ社会での自分を指しており、「あたし!」は「特別な自分」を指していると考えます。
その「特別な自分」は何かに気付きます。
この「気付き」が何なのは歌詞には表れていませんが、きっと「特別な自分」のまま大人になる方法を見つけ出したのだと考えます。
まとめ
Adoさんの「レディメイド」の歌詞について、筆者なりの考察・解釈をお伝えしました。PVの動画は野球をイメージしており、バッターが「特別で在りたい」自分、ピッチャーが「モブ社会の代表」を表しており、投げる球は「自分がモブであることを認めて受け入れろ」という主張を表現しているように感じました。また、他のプレイヤーや観客も全員「モブ社会」の一員で、バッターボックスに立った自分が、それ以外のモブ社会の人々に戦いを挑んでいるような曲でした。
「レディメイド」という曲は、Adoさん自身が大人に近づくにつれ感じる成人社会とのギャップを歌っているようにも感じました。若い世代に向けては「特別な自分」を持ち続けるようにエールを送っている曲であり、大人に向けては「特別な自分」を思い出させるような曲でもあります。この曲を聴いた人が自分らしさを取り戻せるきっかけになるような作品なのではないでしょうか。
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