
代表曲「うっせぇわ」でおなじみの、シンガー・Adoさん。今回は、Adoさんの楽曲「ギラギラ」の歌詞の意味を、筆者なりに解釈・考察していきます。曲のMVとともに、Adoさんの世界観に浸ってください。
Ado「ギラギラ」とは
Adoさんの「ギラギラ」は、2021年2月14日、バレンタインデーに配信がスタートした楽曲です。
2月14日バレンタインデーに
新曲「ギラギラ」を配信リリースします……「ギラギラ」https://t.co/fqZf59PZ0C
詞曲・編曲:てにをは@edogawa_sampo
Movie:沼田ゾンビ@Dobuu_2
もしも神様が左利きならどんなに幸せか知れない pic.twitter.com/530Z5rVL9b
— Ado (@ado1024imokenp) February 9, 2021
バレンタインデーというと、きらきらして可愛らしい恋愛ソングが多い印象ですが、Adoさんは一味違う楽曲をリリースされました。
「ギラギラ」歌詞の内容を徹底解釈・考察!
それでは、「ギラギラ」の歌詞の意味を解釈していきます。
あーもう本当になんて素晴らしき世界
んで今日もまた己の醜悪さに惑う
だのに人を好きって思う気持ちだけは
一丁前にあるから悶えてるんでしょう
「素晴らしき世界」なんていっていますが、これはどうやら皮肉。
「ギラギラ」で描かれているストーリーの主人公は、自分の容姿に自信が持てないようです。それなのに、好きな人ができてしまい、「恋愛なんて自分には無理!」という思いと「好きな人と近づきたい!」という思いで、葛藤しているようです。
Ugly 正直言って私の顔は
そう神様が左手で描いたみたい
必然 この世にあるラブソングはどれひとつ
絶対 私向けなんかじゃないでしょう
Uglyは、「醜い(みにくい)」という意味の英単語です。
神様だって、きっと右利き。醜い私の顔は、神様が利き手ではない左手で描いてしまったんだ…。
そんな風に思うくらい、自分の容姿が嫌いな主人公。
世にあふれるラブソングが自分向けでないと思うのは、「自分は醜いから恋愛なんてしてはいけない」と言い聞かせているのでしょう。
使い道のないくちづけ 憐れみを恣(ほしいまま)に
スパンコールの瘡蓋(かさぶた)で身を守る
愛されないくらいなんだ
「憐れみ」とは、人の苦しみに同情すること。口づけをする機会もない主人公の被害妄想は膨らみ、周囲から同情されているとまで思っています。
しかし、そんな心の傷を、輝くスパンコールで埋めた主人公。「愛されないことが、何なんだ!それの何がいけないの?」と、開き直った強さがうかがえます。
ギラギラ輝いて私は夜を呑み
Rap Tap Tap Tap
今に見てろこのLuv(ラヴ)
目に染みるのは1㎎の花火
Drag on Drag on
なんてファニー この世はビザール
ギラ ギラギラ ギラ
これまでコンプレックスだった傷をスパンコールで隠した主人公は、もう無敵。
花火のように、強く儚く輝いているのでしょう。
Drag onは「不幸に過ごす」、ファニーは「おかしい・滑稽」、ビザールは「奇怪・奇妙」といった意味があります。
これまで自分の容姿にコンプレックスを抱えて不幸に過ごしてきたけれど、開き直ってしまえば、それがなんだ、と。これまで自分をバカにしてきた周囲も、そんなことに悩んでいた自分も、みんな滑稽で、おかしく見えてきたのでしょう。
「この世はビザール(Bizarre)」。このBizarreとは、「変」という意味があり、それがもはや面白く感じられる時、あるいは信じがたい時などに特に使われます。つまり「この世が面白く感じられるほどに変」だということを指しています。
Unknown お釈迦さまも存ぜぬうちに
もう健やかに狂っていたみたい
それは世界の方かそれとも私の方ですか?
共生は端からムリでしょう
開き直った主人公は、神様やお釈迦様に問いかけます。
― 狂ったのは、私なのか?
そもそも、美しい見た目を持って生まれ恋愛を楽しんでいる人たちと、自分が同じ世界で共生するなんて、無理な話なんです。
マガイモノこそかなしけれ 無我夢中疾る疾る
強い酸性雨が洗い流す前に
蛍光色の痣抱いて
酸性雨とは、二酸化炭素を多く含んだ雨のこと。自然界への影響はもちろん、銅像や建築物といった金属製のものを錆びさせてしまうため、環境問題となっています。
開き直って、強く生きていたつもりだけど、それが偽りであると気付いている主人公。酸性雨のような強烈な刺激を受けて、自分が溶け出す前に、なんとか切り抜けなければ —
メラメラ火を噴いて私は夜の狼
Rap Tap Tap Tap
そこで見てろこの乱舞
強くおなり あなたなりの武装(メイクアップ)で
Flap up Flap up
不意に不安に
偽りの自分と分かっていながら、そうでないと、美しい人たちと対等に生きていけないと感じた主人公。歌詞では、「武装」と書いて「メイクアップ」と読ませています。醜い彼女にとって、メイクは武器。武器をそろえて強くなったつもりだけど、やはり、突如不安な気持ちに襲われます。
孤独は燃料(ガソリン) 卑屈な町を行く
目を閉じて もういいかい もういいかい
もしも神様が左利きならどんなに幸せか知れない
醜い自分は、美しい世界からは遠く離れている。そんな距離感・孤独感は、彼女を奮い立たせる燃料でもあります。
ここで、冒頭の歌詞の伏線が回収されます。冒頭では、こんな歌詞がありました。
正直言って私の顔は
そう神様が左手で描いたみたい
「もしも神様が左利きなら」の意味は、彼女の醜い顔は、神様が左手で描いたもの。メイクして、強がって、頑張ってみたけれど、「やっぱり元が美しければ良かったのに…」という後悔の念は消えません。
ギラ ギラギラ ギラ ギラギラ
Give Love 花は満ちて(ギラギラ)
ありのまんまじゃいられない 誰も彼も
なんて素晴らしき世界だ!
ギラついてこう
結局、自分だけでなく誰も彼も、ありのままではいられないことに気づいた主人公。
冒頭では、皮肉として「なんて素晴らしき世界」と語っていましたが、今は、みんな素顔ではいられない世界万歳!みたいな、強さを感じます。
また、これまで擬音として使われてきた「ギラ」という音。これが「Give Love」、つまり「愛をください」という意味だったと明らかになります。強がってみたり開き直ってみたりしたけれど、実はずっと「愛されたい」と思っていた。ただ、それだけだったのかもしれません。
まとめ
Adoさんの楽曲「ギラギラ」について、筆者なりの解釈・考察をお伝えしました。Adoさん自身も、顔を明かさずに活動しているので、歌詞と重なる部分はあるのかもしれません。
バレンタインデーに発表するには、あまりにも切なくて悲しい曲でした。しかし、みんなそれぞれコンプレックスを抱えながらも、強く生きていくことを痛感できる作品ではないでしょうか。
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